研究分担者 |
小川 恵一 科学技術庁, 金属材料技術研究所・筑波支所, 部長 (00233411)
宮崎 健 日立金属株式会社, 開発本部, 技術参与
隅山 兼治 京都大学, 工学部, 助手 (70101243)
MIYAZAKI Takeshi Hitachi Metals Ltd. R. & D. Div., Technology Advisor (
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研究概要 |
本研究においては, 気相急冷法による新合金材料の開発を行うため, スパッタリング法により試料を作成し, X線構造解析と非平衡合金の形成能の解明, 非平衡合金の物性及び熱的安定性を明らかにすることを目的としている. 3年間の研究成果の概要を以下に記す. 1.気相急冷合金の非平衡相の種類と平衡状態図の特徴を強く相関しており, 気相急冷法による非平衡相の形成能について予測が可能となりつつある. 2.気相急冷合金については, 磁気的, 電気的, 熱的性質を検討した. 非平衡Fe合金中のFeの磁化は原子半径の大きな元素を合金化させると増大すること, 非平衡合金は多数の格子欠陥を含み電気抵抗も大きく, 比抵抗の値150δo・cmを境として抵抗温度係数は正から負へと変化すること, 非晶質合金の結晶化過程は拡散律速であることなどが判明した. 現在, 軟X線分光, XPSによる電子構造の研究を進めている. 3.非晶質Fe-Ti合金のX線構造解析, EXAFS測定を行なった結果, 幾何学的, 化学的にランダムな構造を有していることが明らかになった. 現在, 水素吸蔵, 放出特性について研究を進めている. 4.スパッタリング中のアルゴンガス圧を調節して, 合金膜の組織, 界面の酸化を制御すると, 垂直磁化膜が作成可能であること, Feに原子半径の大きなPdなどを合金化させると高磁束密度の軟磁性材料が作成可能であることが明らかとなった. 5.スパッタリング法で作成した超伝導体膜の超伝導遷移温度の組成依存性を検討した. また, 合金中の侵入型原子による圧縮応力の発生, 応力による基板からの膜の剥離パターンの解析を行なった. この結果は薄膜超伝導素子を設計する際の内部応力除去対策の基礎データとなる.
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