本研究課題は2簸年を研究期間として計画したものであり、本年度の研究計画としては 第1にこれまで我々が【Fe_(90)】【Zr_(10)】合金において発見した液体急冷片ロール法による表面集合組織が他の如何なる合金系において見出されるかを明らかにする。 第2にこれらの表面集合組織が熱処理により如何に成長するかを明らかにすることであった。 以上の計画のもとに今日までに得られた研究成果を次に述べる。 1. 液体急冷片ロール法により見出された表面集合組織としては従来【Fe_(90)】【Zr_(10)】と【Fe_(91)】【B_9】に限られていたが、今回の我々の研究により、【Ni_(20)】【Zr_(80)】においてもω-Zrの表面集合組織が形成されることが明らかとなった。このω-Zrの相はZrの高圧相である、常圧で得られたのは今回が始めてである。 この常圧でのω-Zrの形成は物性を含め実用的にも今後大いに期待できる発見である。 なお、表面集合組織が形成される合金組成の条件については、来年度より系統的な研究を行い明らかにする計画である。 2. 表面集合組織の成長を観察する手段としてX線用位置敏感型比例計数装置(PSPC)を購入し、現在その取付け、調整が完了した段階である。一方現在・X線用試料高温装置については製作中であり、間もなく完成する。この完成を待って、来年度より表面集合組織の熱処理による成長過程をX線その場観察によりとらえ、成長条件を解明する計画である。
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