金属材料において、溶接などの熱加工を施した部分の組織を、コンピュータ画像処理の手法を利用して、定量的に評価する目的で以下の研究を行った。 1.粒子解析のための新しいアルゴリズムの提案、溶接継手部に偏析する小塊状物質などの形状を、コンピュータ画像処理によって定量的に測定するために、従来より利用されている形状係数の算出に必要な小形対象物の周囲長の計算方法について、対象物の方向や大きさに影響されることのない新しい方式を提案し、種々の条件について、この計算方式が妥当であることを検証した。 2.熱加工過程のコンピュータシュミレーションと加工部金属組織の推定 熱加工法として、炭素鋼のレーザ熱硬化処理をとりあげ、適当なモデルを設定して、熱伝導解析、相変態解析、炭素拡散解析を行い、その結果形成される金属組織を推定した。推定結果は実験結果と照合して妥当性を検証した。 3.レーザ熱硬化処理部の金属組織の定量的測定法の検討 前項の結果を検証するために行ったレーザ熱硬化処理実験で得られた炭素鋼熱影響部の組織を定量解析するために、画像処理手法を応用して、粒子解析とテクスチュア解析を適用して、材料中の熱硬化の程度に応じた領域分類の可能性を見い出した。 4.熱加工過程進行時の材料表面の温度分布のパターン計測と内部温度の推定、熱加工過程進行時に、赤外線カメラで加工材料の表面温度パターンを測定し、画像処理により、その温度分布を求める。この温度分布を境界条件として、熱伝導論により、材料内部の温度分布とさらに、その時間的変化より、加熱冷却速度を算出する方式を確立した。
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