研究概要 |
1.簡易型GC-MSと釣合う大きさ・重量で、かつ必要な性能を備えるよう通常型の市販品を用いて検討した結果、試作について次の指針を得た。【i】)キャピラリーカラム専用とする。【ii】)恒温槽は最大巻径(21cm)の市販カラムが使える大きさとする。【iii】)ファンを恒温槽内につけカラムと接触しないような大きさ・位置とする。【iv】)恒温槽の昇温は30℃/min迄の任意の速さでできるようにし、マイコン制御により再現性よく5段階までの直線昇温を行う。【v】)キャリヤーガス2次圧を再現性よく制御する。2)GCインジェクターについて市販品をテストし、大倉理化製のクールドオン方式のもの(100μl導入可能)を用いることにした。3)以上のデータに基づき基本設計を行い、外寸法約25cmの立方体で重量約10kgの簡易型GCの試作を行った(61年3月完成)。 2.簡易型MS-イオントラップ式質量分析計(ITMS)(50×45×40cm,約50kg)について性能テストと評価を行い次の結果を得た。【i】)質量スペクトル測定に必要な試料の量は1ng又はそれ以下で、従来型MSより約1けた高感度であった。【ii】)選択イオン検出法による検出下限は約20〜50kgで従来型より約半けた感度が劣った。【iii】)ヘリウムガス中の水分が感度.分解能にかなり影響を与えることがわかったので、脱水・脱酸素管をつける必要があった。【iv】)アルカンなど電子衝撃(EI)法に比して分子イオンが出現しにくい化合物があった。【v】)化学イオン化(CI)法についてヘリウムにメタンガスを混ぜて試みた結果、EIスペクトルが若干混じったスペクトルとなり、感度も十分ではなかった。【vi】)イオン源温度が変えられず220℃に固定されているためCI法で付加イオンが生成しなかった。 以上の結果から簡易型GC/MSについて実現の見通しを得た。来年度は試作GCの性能評価と改良を行い、MSは問題点の改善を図る。
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