研究課題/領域番号 |
60850152
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研究種目 |
試験研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
有機工業化学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
妹尾 学 東大, 生産技術研究所, 教授 (40013099)
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研究分担者 |
宮田 暉夫 日本医用高分子材料研究所, 所長
黒柳 能光 北里大学, 医学部, 講師 (80170140)
吉里 勝利 北里大学, 医学部, 助教授 (20095516)
塩谷 信幸 北里大学, 医学部, 教授 (80050376)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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キーワード | 人工皮膚 / 創傷被覆材 / ポリアミノ酸 / ポリ-L-ロイシン / 熱傷治療 / 生体適合性 |
研究概要 |
自家植皮を必要とする広範囲重度熱傷に適応できる創傷被覆材の開発は重要な課題である。すなわち、熱傷の範囲および状況によっては、受傷直後に自家植皮ができない場合があり、このような場合、一定期間創面を安全に被覆した後、創傷被覆材をはがして自家植皮をするが、このとき自家植皮にとって良好な移植床が形成されていることが必要である。長期間の安全被覆保護および良好な移植床の形成をするためには、感染防止を確実にすることが望まれる。これまでに開発されたラミネート型創傷被覆材は、外部からの細菌侵入を阻止する点では、有効であるが、既に創面にある細菌の繁殖を抑制するという点では十分でない。そこで、外部からの細菌侵入を阻止すると同時に、創面での細菌の繁殖を抑制する新しい型の創傷彼覆材の開発を行った。先ず、ポリ-L-ロイシンを基材とする膜構造とスポンジ構造からなる創傷被覆材を作製し、ラットに適用した結果、皮膚全層欠損傷を長期間、安全に被覆保護できることが明らかになった。次に、ポリ-L-ロイシンのベンゼン溶液にシルバーサルファダイアジンを混合し、凍結真空乾燥法により膜構造とスポンジ構造の二層からなる創傷被覆材を作成した。生理食塩水中37℃の条件下では、抗菌剤の徐放が可能であった。寒天培地に緑膿菌を播種し、この上に被覆材を置き、殺菌効果を調べた。さらにマウス背後皮膚全層欠損傷に緑濃菌を接種し、この上に被覆材を圧迫固定して殺菌効果を調べた。いずれの場合にも顕著な殺菌効果が観察された。抗菌剤含有創傷被覆材をラット背部皮膚全層欠損傷に縫合し、10日、20日、30日後、被覆材をはがし、得られた移植床に自家植皮したところ、良好な生着が観察された。以上の結果から、重度熱傷に対して適用できる新しい創傷被覆材に要求される安全性と有効性が確認されたので、さらに実地の試験を進めている。
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