研究概要 |
申請者らがその緒端を見いだしているアルコールを遷移金属錯体触媒で活性化する手法を用い、アルコール類からの新規合成法の開発研究とファインケミカルス合成への応用について検討を行なった。 1.低原子価ルテニウム錯体触媒によるアルコールからのエステル、ラクトン化反応を応用し、香料として用いられるエステル類の合成研究を行なった。その結果、シクラメンの香気成分である2-メチルペ 2 RC【H_2】OH Ru【H_2】【(PPh_3)_4】 R【CO_2】【CH_2】R+2【H_2】ンチル 2-メチルペンタノエートやヒヤシンス、スイセン系香料として用いられるフェニルエチル フェニルアセテートがそれぞれ工業的に安価なアルコールから容易に得られることを明らかにした。 2.エステル化反応の原理を応用し、ルテニウム触媒存在下アルデヒドとアルコールからの非対称エステル合成の可能性について検討した。ルテニウム触媒存在下アルデヒドとアルコールを水素受容体とともに反応させると非対称エステルが選択的に得られた。 3.ルテニウム触媒によるアミノアルコールのラクタムへの変換反応に関して基礎的研究を行ない、触媒にはRu【H_2】【(PPh_3)_4】を、また水素受容体としてベンザルアセトンを用いることにより効率良くラクタム化が進行することを見いだした。 4.新しい触媒プロセス開発の試みの1つとして、ルテニウム触媒-t-ブチルヒドロペルオキシドによりアルコール,シアノヒドリンが効率良く酸化されることを見いだし、アシルシアンドの合成法を新たに開発した。 またパラジウム触媒存在下オレフィンとアルコールからのアセタール合成反応を見いだした。
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