1.固定化塩基触媒の合成法の開発・改良 アミノピリジン基を有するスペーサー型の固定化触媒(ゲル型)はω-ブロモアルキル化架橋ポリスチレンとメチルアミノピリジンをメチルホルムアミド中、水素化ナトリウムの存在で反応させることで得ることができた。同様の方法でMR型の架橋ポリスチレン上にも固定化できた。イミダゾール類の固定化はイミダゾール基を有するスチレン誘導体の重合、およびアミノピリジンの固定化と同様の高分子反応で行なうことができた。 2.固定化塩基触媒を用いる合成反応 (1)リナロールのアセチル化においてゲル型ポリマー固定化アミノピリジンの構造と触媒活性の関連の検討から、活性がスペーサー鎖長だけでなく環置換率にも依存することが判明した。 (2)MR型アミノピリジン触媒ヘグリセロホスホリルコリンを含浸させ、これとパルミチン酸無水物をクロロホルム中で反応させリン脂質を約75%の収率で得た。この方法により従来の方法に比べて生成物の分離がより簡単となった。 (3)シクロヘキサンジオン誘導体エノールエステルのアシル基転位反応がゲル型アミノピリジン触媒の存在で容易に進行することが認められた。またその活性はスペーサー鎖長、環置換率、反応溶媒等に依存することが判明した。固定化触媒の回収再使用により活性が低下する場合があったが、求核試薬による処理でいくらか活性の回復が見られた。また触媒と生成物の接触時間を短かくすることにより活性低下を減少させることができた。このアシル基転位は固定化イミダゾールを用いても進行したが、固定化アミノピリジン触媒に比べると活性はかなり低いことが判った。
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