水素高圧バイオリアクターを用いるフェニルピルビン酸からL-フェニルアラニン変換反応について検討を行った。固定化ヒドロゲナーゼ含有菌A.eutrophusまたはCl.butyncumを水素100気圧下で用いることによりNAD(【P^+】)をNAD(P)Hに還元することができ、さらに固定化酵素(アミノ酸デヒドロゲナーゼ)と組み合せることにより、L-アミノ酸連続生産系を確立した。次に、固定化M.luteusを用いるフェニルピルビン酸からフェニルアラニン生成反応におけるアミノ基供与体の検討を行ったところ、アラニンが最も効率よくアミノ基供与体として利用された。そこで、水素高圧下におけるNADH再生系-アラニンデヒドロゲナーゼによるアラニン生成系と固定化M.luteusを用いるフェニルピルビン酸からフェニルアラニン生成系を組み合わせることを試みた。この結果、水素高圧下における直接的なL-フェニルアラニン生成が可能なことが示唆された。次に反応系の簡略化と経済的見地から、1つの固定化微生物を用い、水素高圧下におけるアンモニアとフェニルピルビン酸からのフェニルアラニン生成を検討した。固定化N.opacaが水素高圧下で最も効率的にアンモニアとフェニルピルビン酸からフェニルアラニンを生成した。反応の至適条件と反応機構の解明を試みた。この反応は菌体内ヒドロゲナーゼにより菌体内【NAD^+】が水素高圧下で還元され、再生したNADHを利用し、菌体内フェニルアラニンデヒドロゲナーゼの働きによりフェニルアラニンが効率よく生成したと考えられた。また反応系に少量のNADを添加することにより、反応速度の上昇も可能であった。また、水素高圧リアクターによる油脂の選択的水素化についても検討した。ニッケル触媒およびパラジウム触媒を用い、リノール酸メチルからオレイン酸メチルへの選択的水素化を行ったところ、パラジウム触媒の方がモノエンの選択性が良かった。さらに、ベンズアルデヒドフェニルアセトアルデヒドを加えると高選択性が得られた。
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