1.水稲の省力安定多収栽培(湛水土中直播栽培):金南風の【CaO_2】コーティングもみを、精密試験圃で播種量と施肥量を変えて、1cmの深さに手播きした。出芽率は65〜75%で、播種量と出芽個体数との間にはパラレルな関係が認められなかった。10a当り換算玄米収量は260〜400kgであった。これは強粘質土壌のため出芽が阻害されるとともに、分げつが抑制されたことによると考えられる。 大面積圃場では、金南風とアケノホシの【CaO_2】コーティングもみを、代かき後1週間目に、播種量を変えて、播種深度を1cmに設定して機械播きした。この試験では出芽がおくれ、しかも出芽率が著しく低く、調査できる状態でなかったので、移植に切りかえて、収穫物はソフトグレインサイレージに調製した。出芽不良の原因を知るために、代かき後の土壌硬度の変化と水深との関係を調べたところ、代かき後一旦落水して3日間放置すれば、播種に適した硬度になることがわかった。 2.もみのソフトグレインサイレージの調製法:出穂後25日目から3日おきに、4時期に収穫したもみ(品種:金南風)を、小型気密タンク(容量100l)に埋蔵した(収穫時期の早いものからA、B、C、D区とする)。収穫時のもみ含水率はA区:35.5、B、C区:33、D区:30%であった。もみ層内温度は各区とも、詰込6時間後まで急速に、その後徐々に上昇して12時間後に最高に達した。最高温度は最も高かったA区でも30℃以下であった。C【O_2】濃度は詰込6日後まで急速に、その後徐々に上昇して最高に達した。最高濃度に達する時期は収穫時期が早いほど(もみ水分が多いほど)早く、また最高濃度についてもこれと同様の関係が認められた。サイレージの有機酸組成から判断して、詰込時のもみ含水率が35%以上では良質の製品が得られないようである。一般成分については分析中である。 昭和61年度の給与試験供試手は現在育成中である。
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