1.昭和60年度に確立したジゼロシン定量法を用いて、多種の魚粉のジゼロシン含有量を測定した。特に、魚粉中にジゼロシンが生成する条件を、モデル系で解析し、微酸性条件下、温度100℃以上で、特にジゼロシンの生成が顕著であることを証明した。 2.一方、魚粉中のジゼロシン生成防止法を開発するため、諸種の試みを行ない、魚粉乾燥時に、リジンおよびアスコルビン酸を添加することにより、ジゼロシンの生成を防ぎ得ることを明らかにした。今後この方法を実用規模で適用することにより、低ジゼロシン魚粉の製造が可能になると考えている。 3.昭和60年度に開発したジゼロシンの定量法はやや煩雑で、広く用いられるためにはより簡便な方法が必要とされる。本研究では、この点も特に力を入れて研究した。年度内に完成には至らなかったが、ジゼロシンをヘモシアニンおよびチログロブリンに結合させ、マウスを用いて坑ジゼロシンモノクローナル坑体の調製を試みた。数株のクローンが得られており、今後、モノクローナル坑体の安定な生産株の確立、ラジオイムノアッセイ法、酵素イムノアッセイ法を確立することにより、世界各地で、簡便に、魚粉中のジゼロシン量、およびジゼロシンを含む魚粉を摂取した後の血中ジゼロシン量の測定を可能にすることを計画している。また、化学的定量法の改善、簡便化も、九分通り成功しており、近く完成すると考えている。 4.ジゼロシンの胃粘膜細胞への作用を検定した。この系を確立したことにより、魚粉中のジゼロシン以外の胃酸分泌促進物質の検索を簡易化することができた。
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