研究課題/領域番号 |
60860010
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研究種目 |
試験研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用微生物学・発酵学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大石 邦夫 東大, 応用微生物研究所, 助教授 (90013317)
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研究分担者 |
沢崎 徹 東京大学, 農学部, 助教授 (00012047)
竹内 啓 東京大学, 農学部, 助教授 (90011874)
多胡 義孝 東京大学, 応用微生物研究所, 助手 (70111573)
本庄 重男 国立予研筑波医学実験用霊長類センター, 所長 (10072878)
輿水 馨 東京大学, 医学部, 教授 (90011866)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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キーワード | レクチン / CLA / ヒト特異的レクチン / 赤血球特異的レクチン / 人獣血鑑別 / 潜血検査 / 造血系細胞分化 / ラクトサミノグリカン |
研究概要 |
1.糸状菌Conidiobolus lampraugesの生産するキトオリゴ糖結合レクチンCLAは、種々の動物種の赤血球のうち赤血球を高度に特異的に凝集する。いいかえると、ヒト赤血球表面には高度に種特異的な抗原が存在し、これは種の内では普遍的に分布する。CLAは25mgタンパク/mlの低濃度で、この抗原を検出出来る。ヒト以外の26種の霊長類のうち、チンパンジー、テナガザル〃シシオザルの赤血球のみがヒトの約1/50の強さで凝集されるが、その他の霊長類、霊長類以外の11種の哺乳類、3種の鳥類、4種のハ虫類、3種の両生類、5種の魚類の赤血球は、いずれも凝集されなかった。2.赤血球膜断片はCLAを吸着するので、吸収試験によって人血痕を鑑別することが出来る。CLAによって、血液換算2.5μlの微量の血痕が検出された。また10年までの陳旧血痕が検出可能であった。3.CLAはABO式血液型抗体の場合と異り、唾液や精液で全く吸収されない。高度なヒト特異性と合わせてこの性質は人血の検出、例えば便中の潜血検査に利用出来る。4.CLAはヒト造血系株細胞のうち、赤血球系細胞HELと結合した。HELをTPA処理しマクロファージ様細胞に転換させると、結合は見られなくなる。また、同じ赤血球系細胞でもK-562とは結合しない。CLAは、ヒト造血系細胞上の未知の分化指標抗原を識別していると考えられる。この性質は種々の血液病の診断や種々の分化促進あるいは抑制剤の効果の判定に用いることが出来る。5.CLAは、ヒト赤血球表面の糖タンパク、Band3のマンノースのC-6側から伸びるN-アセチルラクトサミン鎖の非還元末端から少くとも糖ユニット5ケ以上を認識し、かつ、結合には非還元末端にL-フコースの存在を要求する。このような特異性は、糖の微細構造の検出、分析、分画精製などに有用な性質と考えられる。
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