3年間の研究の初年度であり、本年は【◯!1】従来の研究成果の検討と理論的・実証的研究課題の整理、【◯!2】3年間の継続的研究対象地域の設定と基礎調査の開始、を行った。 【◯!1】については5回の全体研究会をもち、既存の文献資料等を検討した上で、(ア)水田複合経営の実態動向(複合化の方向と稲作専作化の方向の比較)、(イ)部門間結合の論理と現実(水田稲作と他部門との結合関係)、(ウ)地域複合と個別複合の関連(複合化における地域農業の論理と現実)、の3点を基本課題とし、具体的課題としては、(ア)複合化の利益の計測、(イ)複合経営の定義と把握方法(経営組織分類のあり方)、(ウ)生産組織(営農集団、集団的土地利用等)と複合化の関係、(エ)農地流動化条件と複合化の関係、(オ)複合化における作目(部門)の技術的・経営的性格、(カ)地域複合の概念と類型の明確化、の6点が当面の重要課題であるという共通認識に達した。 そしてこれらの課題に対しては設定したフィールドの中で適当な課題を分担して、実証的に検討しながら、それを一般化するための理論化を図っていくこととした。 研究対象地域としては、千葉県君津市、石川県(県内の主要な個別複合経営)、宮城県米山町、秋田市、秋田県大雄村および鹿角市の6ケ所を主とし、ここに担当者を決めて長期かつ継続的調査を行うために基礎調査に入ると共に、それぞれの地域について3年間の間に全員の共同調査を行うこととし、本年は君津市で行った。 本年は基礎調査の段階であるから、まだ明確な新知見等は得られていないが、諸研究課題のいくつかについては検討が深められつつある。
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