研究概要 |
植物工場の最適環境条件を求めるには長時間の試行錯誤を要し、非能率的である。本研究では、同時に4個の小チャンバで、相異なる環境条件を造成し、植物の生長を生理生態学的な計測により求め、さらにシステム同定により短時間に最適環境条件を求めるパイロットプラントの試作を行った。 (1)環境制御面 温度及び相対湿度,【CO_2】ガス濃度,光強度,養液の温度ならびに成分,等につき、栽培に支障のない範囲で経済的な制御が実現した。温湿度の空調制御はもはや技術的に問題はないが、光強度と【CO_2】ガス濃度の制御については、試作器の補償に相当の時間を要した。その結果、【CO_2】ガス濃度は、350,650,1000μl/lに制御され、また光強度は、40KHzでデューテイ比を可変とした出力(オンオフ出力)を得ることができる。 (2)植物生体計測面 光合成速度を小さなチャンバー内で連続的に計測できるキュベットを試作し、光合成速度があらゆる場面で計測できるようになった。他方、光合成に密接に関連する水ポテンシャルの計測法にも改善を加え、気孔コンダクタンス,開度,水ポテンシャル,光合成が同時に、上記チャンバー内で計測できる。 (3)栽培プロセスの探索 光エネルギーを50%減とした、すなわちデューテイ比0.5,周期10msの光条件を与えたものと、通常の蛍光灯とで移植後2週間の初期生育に関する探索実験では、350μl/lで通常の光条件で示す生長量と、650μl/l以上で50%減の光源を用いた場合に示す生長量とに、葉菜類では殆んど差がみられなかった。光エネルギーの減少分が高い濃度の【CO_2】ガス条件によってカバーされる可能性を示している。これらは、ほんの1例であるが、漸次有効な栽培プロセスの探索が進展しつつある。
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