研究概要 |
肉用牛の屠肉形質とくに脂肪交雑の遺伝機構を解明するために、ホルスタイン種の中で脂肪肪交雑形質に関して優れた遺伝子をもつことが判明している種雄牛Aおよびこれと父方および母方半兄弟の種雄牛BおよびCの産子を得た(試験1)。以下その去勢牛3頭ずつをA,B,C群と略称する。種雄牛Aの産子については、さらに4頭を供試し650kgと750kgで屠殺した(試験2)。以下その去勢牛2頭ずつを650kg群,750kg群と略称する。 A,B,C,群いずれも約21カ月齢でそれぞれ635,648,644kg時に屠殺した。3群の枝肉重量はそれぞれ360,376,397,であり、これらの枝肉の分離脂肪の割合は、35.6,31.3,32.2%でホルスタイン去勢牛としてはいずれも多かった。ことにA群は他の群より多く、BとC群はほぼ同じであった。第5胸椎から第6腰椎までの15切断面で判定した脂肪交雑評点の平均値は3群でそれぞれ【2.5^+】,【2.0^+】,2.0であり、ホルスタイン去勢牛の平均的な評点水準よりいずれも高い値であった。ことにA群は他の群より高く、BとC群はほぼ同じであった。また、その脂肪交雑の程度は第9胸椎までは高いが、後部において低くなった。750kg群の屠殺時月齢は27カ月齢で650kg群と約8カ月の差を生じ、枝肉の分離脂肪の割合は38.5%で約5%多かったが、脂肪交雑の程度には差がなかった。以上の結果を総合すると、脂肪交雑形質に関する種雄牛Aの優れた遺伝子はその父母両方から由来して相加的な効果がAに現れたものと考えられた。第8〜10胸椎部におけるロース断面のカラー画像についてRGBそれぞれのヒストグラムの谷間を閾値とし、これより下位の階調部分を筋肉として2値化し、三者の論理積により筋肉部分を抽出して面積を求めたところ、トレース法で実測した値とほぼ一致した。また、第8胸椎部の画像解析から求めた筋肉割合が、最も枝肉の筋肉割合に近い値であった。
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