| 研究概要 |
ヘムが開裂分解して胆汁色素(ビリベルジン,ビリルビン)を形成する反応は生物学上極めて重要であり、反応はヘムオキシゲナーゼによる酸素添加反応の形で進行する。今回はヘム分解の初期反応であるヘムのα-メゾ位の炭素を水酸化してα-オキシヘムを生成する水酸化反応の機構を研究した。この水酸化反応がp-450型のモノオキシゲナーゼ反応であると予想すると、ヘム鉄【II】価の酸素型に(1)電子が何個酸素側に移動して酸素が活性化されるのか、(2)その結果生じた酸素原子がポルフィリンのピロール環内を移動してα-メゾ位の炭素に達するのか? 或は鉄と結合した活性酸素が直接橋渡し的にα-メゾ位炭素に導入されるのかを研究する必要がある。われわれはこのオキシゲナーゼのモデル系としてミオグロビン(Mb)又はプロトヘム-1,2-ジメチルイミダゾール錯体から種々の鉄-酸素又は活性酸素誘導体を合成して、そこから生ずる中間体→α-オキシヘム生成の条件を研究した。そして中間体を調べるために、低温下の反応や、酸素又は活性酸素高速混合測定装置を用いて電子スペクトルの変化を測定した。Mb-Fe(【III】)に過酸化水素を添加すると、Mb-Fe(【IV】)=Oを生ずるが、この酸素原子は安定で、α-メゾ位炭素に水酸化反応を起すことはない。次にFe(【IV】)=Oにアスコルビン酸を加えて更に一電子還元するか、或は予めアスコルビン酸でMb-Fe(【II】)を生成させ過酸化水素を加えると約15〜20%の収率でα-メゾ位に水酸化を起す。ヌプロトヘム-1,2-ジメチルイミダゾール系において、アスコルビン酸を加えFe(【II】)に還元して【H_2】【O_2】を添加すると定量的にα-オキシヘムを生成する。以上の結果から、Fe(【IV】)=Oに1電子還元して生じた水酸ラジカルの関与がメゾ位攻撃の主流と考えられる。そしてこれらの変化は酸素原子がポルフィリン環内を移動するのではなく、Fe(【II】)-過酸化水素から橋渡し式にα-メゾ位に移動するように考えられる。
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