1.ウサギ肋軟骨初代培養細胞を用いた副甲状腺ホルモンの生物学的 検定法の開発について A)サイクリックAMPレベルの上昇作用を利用する方法 96穴のマルチウェルプレートでウサギ肋軟骨成長軟骨細胞を培養した後、同じマルチウェルプレートで0.1mlの6%TCAを用いてサイクリックAMPを抽出することにより、サイクリックAMPレベルの測定に十分な試料を得ることが可能であることが明らかとなった。 B)オルニチン脱炭酸酵素(ODC)の誘導を利用する方法 【◯!1】ODC測定には通常酵素液として細胞をホモジナイズし、遠心した後の上清が用いられているが、簡便法として細胞のホモジネートを【^(14)C】-オルニチンとインキュベートして酵素活性を測定しても特に支障のないことが明らかとなった。 【◯!2】センターウェル付の三角フラスコでの測定では大量のサンプルを処理できないので、小試験管とディスポーザブルのセンターウェルで測定する方法を開発した。本法では同じインキュベーターで従来の方法の約4倍の数のサンプルを測定できる。 2.軟骨由来細胞株の樹立 マウス肋軟骨初代培養細胞にラウスザルコーマウィルス(温度感受性株)をポリエチレングリコールを用いて感染させ、長期継代可能な細胞株を得た。本細胞は、軟骨細胞の分化機能の重要な指標であるグリコサミノグリカンを活発に合成するとともに、副甲状腺ホルモンに応答した。従って、本研究の目的である副甲状腺ホルモンの生物学的検定法に利用可能と考えられる。 上記の如く、本年度の研究実施計画はおおむね達成でき、なかでも軟骨細胞株の樹立は大きな成果といえる。なお、細胞株樹立にあたり本研究費で購入した倒立顕微鏡は大いに役立った。
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