研究概要 |
1.ウサギ肋軟骨初代培養細胞を用いた副甲状腺ホルモン(PTH)の生物学的検定法の確立 ウサギ肋軟骨初代培養細胞を24穴マルチウェルプレートで培養し, PTH添加4時間後に細胞を低張のアッセイ用緩衝液で懸濁し, そのまま^<14>C-オルニチンとインキュベートしてオルニチン脱炭素酵素(ODC)活性を測定する簡便法を確立した. 本法ではMRC標準PTHを用い0.01IU/mlから1IU/mlの範囲で濃度の対数とODC活性との間に直線関係が得られた. 一方, 細胞内サィクリックAMP(cAMP)レベルはPTH添加2〜5分後に著明上昇するが, この作用の場合10^<-9>M〜10^<-7>Mで直線関係が得られた. ちなみに, cAMPレベルの経時的変化が速すぎるため大量のサンプルを同時に処理できない欠点は, イソブチルメチルキサンチンを共存させ, 上昇したcAMPレベル30分以上維持することにより解決した. さらに, ODC活性及びcAMPレベルの上昇作用の両方法で, 種々のPTHフラグメントや誘導体の活性を測定したところ, 他のin vivoや腎アデニレートシクラーゼを用いる方法で得られた結果と一致する結果が得られたので両方とも生物学的検定法として使用できることが明らかとなった. 2.PTHに著名に応答する株細胞の樹立と生物学的検定法への応用 マウス肋軟骨成長軟骨の2代目の培養細胞から細胞株を得, さらに, クローニングによりPTH応答性の著名に高いクローン細胞株を樹立した. この細胞はウサギ肋軟骨初代培養細胞の約4倍のPTH応答性を示した. すなわち, そのcAMPレベルはPTH添加2-5分後に約170倍に上昇した. さらに本細胞は約3年間にわたって継代数にして50代以上培養されており, 無限の増殖能を得たものと思われる. 本細胞の樹立により, 上記の検定方がさらに容易に, 又, 簡便ものとなった.
|