研究概要 |
ウマのフェリチン(分子量50万)を高分子量物質のモデルとして用い、その抗体を物理的に吸着させた直径100μmのガラスビーズを固相として、次の超微量測定法を完成した(詳しい手法は昨年度の報告書参照)。 1)ガラスビーズ集塊290nl(ビーズ240個、ビーズ間隙37nl)に、1〜15×【10^(-19)】molのフェリチンを含む54nlの憐酸緩衝液を加えて、37℃で1時間反応させた。フェリチンが結合したビーズを、6.2μlの憐酸緩衝液で洗い、290nlのフェリチン抗体Fab´とβ-ガラクトシダーゼの複合体溶液を加え、38℃16〜20時間反応して、ガラクトシダーゼをガラスビーズに結合させた。3.2μlのメチルウンベリフェリルガラクトシド溶液と加え、38℃で1時間反応させて、メチルウンベリフェロンとガラクトースを、水解放出させた。全混合液を1.0mlのグリシン緩衝液に加え、メチルウンベリフェロンを螢光測定した。最高感度は1.25×【10^(-19)】mol(フェリチン分子2,000個)であった。 2)1〜5.5×【10^(-19)】molのフェリチンを、1)と同じ方法でビーズに結合させて、O-ニトロフェニルガラクトシド溶液440nl中で反応させた。放出されたガラクトースを、3.2μlのガラクトース脱水素酵素と過剰の【NAD^+】を含む反応液中で、NADHに転換した。このNADHを、既に開発したNADサイクリングを用いて、1,900倍に増幅して測定した。最高感度は0.74×【10^(-19)】mol(フェリチン分子1,200個)であった。 3)1〜10×【10^(-21)】molのフェリチン溶液2.6nl,2.9μlの洗滌緩衝液、15nlのFab´-ガラクトシダーゼおよびO-ニトロフェニルガラクトシド溶液;15nlのガラクトース脱水素酵素反応液を用い、2)と同様にガラクトースをNADHに転換した。このNADHをNADサイクリングを2回連続して行い(二重サイクリング)、11万倍に増幅した。最高感度は5.7×【10^(-22)】mol(フェリチン分子10個)であった。
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