研究概要 |
昭和61年度の研究計画に従って以下の研究を行った。また、本年度の成果は第57回日本衛生学会総会および第26回日本生気象学会総会において報告し、論文として投稿する予定である。 1.分析カラムの劣化の原因となるタンパク成分を分析カラムより洗い出す方法を検討し、0.1N塩酸で一夜洗浄する方法を確立した。 2.血清中陰イオン量の基礎値の変動を検討する目的で、一年間にわたって男性13名より血清を集めた。血清中のリン酸イオン,臭素イオン,硝酸イオンおよび硫酸イオン測定した結果、リン酸イオンと硫酸イオンに有意の季節による変動を見い出した。 3.当教室が保有している一般臨床検査20項目の測定が終了している検体より、男性122名、女性119名を選出した。男性では、疾病として肝疾患と腎疾患に注目したが、酒やタバコの影響も考えられるために、それらもマッチングさせた健常者群を設定した。女性では、高血圧,低血圧,糖尿病,貧血,肝疾患および腎疾患について注目し、生理による影響も考慮した。また、男女共に年令、職業および住居地域をマッチングさせ、季節による影響をさけるために同一時期に採血したものを選出した。 4.上記の検体中のリン酸イオン,臭素イオン,硝酸イオンおよび硫酸イオンの4種の陰イオンを同時に測定可能とし、3回繰り返し測定を行って検量線法によりこれらの陰イオン種を定量した。各群毎に陰イオン量の平均値を求めて検討した結果、硫酸イオンは酒・タバコで影響を受け、腎疾患や肝疾患でも影響を受けていることが判明した。 5.血清中フッ素イオンの測定は有機酸と思われる成分のために非常に困難である。そこで、現在、白金ボードを使用して水酸化カルシウムを添加する灰化法を試みている。
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