本試験研究は、地域における住民の生涯に亘る健康管理を効率的に行うため、その健康管理に関する情報を管理・処理する為のシステムを開発することを目的としているが、今年度は研究の初年度に当り、本研究の基礎固めを行った。即ち研究の対象となるモデル地区において、集団健康検診を中心とした保健医療活動を行いながらこの地域の健康管理に関わる問題点を探りどのような情報が健康管理に重要であるかを探る一方、本研究の要となる情報処理を行う計算機システムのハードウェアを中心としたシステムの構築を行った。具体的には、 1) 初年度に与えられた研究費の設備費を使って大量のデータを保存・管理するための補助記憶装置とその装置を操作するための計算機の基本オペレーティングシステムを購入した。これによって当教室の計算機で多量のデータを蓄積・管理することが出来ると共に、複数の端末装置から同時にデータを入出力出来るという本研究のシステムの基本構想を満足させることが可能になった。 2) 次にこのハードウェアの下で実際のデータの入出力を行うソフトウェアを開発する為に、その基本的な部分のプログラムについては、これまでの別のシステムで開発してきたものを移植し、新しいハードウェアシステムに合うようにそれを修正・追加及び改良した。 3) また、地域での健康管理活動の中で住民の疾病構造や健康管理に対する意識調査等の疫学的研究や、比較の意味で既に積極的に健康管理を行っている集団についての検討を通じて、実際に入出力すべき情報の選択、及びその方法について検討を行った。本格的な入出力は次年度に行うが、この入力した情報に依って、地域住民の医学的、行政的及び経済的等の種々の角度からの健康管理が行えることを目標にしている。
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