今後の医療の重要な問題となる成人病を中心とした慢性疾患の対策として生涯健康管理は必要なものになってくるが、本研究は、この健康管理を効率的に行うための、生涯健康管理情報を処理するため情報処理システムを開発しようとするものである。研究計画としては、モデル地区を設定し、そのモデル地区の全住民を対象とした健康管理情報の入力・管理・出力の処理を有機的に行えるシステムを構築した。計画の初期は、このシステムをミニコンピュータを中心にして構築したが、マイクロコンピュータの補助記憶装置の容量、主メモリの容量等が飛躍的に進歩したことによって、マイクロコンピュータでもこのシステムの嫁動が出来る可能性が出て来たので、計画の後半では、ミニコンピュータのシステムをマイクロコンピュータに移植することを可能にした。 また、個人情報等の基本的な情報の入出力のためのプログラムの上に、健康管理にとって有力な方法である健康検診において多量の情報を処理することを計算機におこなわせる健康検診支援システムを作成した。このシステムは、検診の経済的・時間的負担を少くすることによって、より多くの人が検診を受診することを可能にする事以外に、検診の診断の精度の分析を可能にすること並びに、この支援システム構築の基本的な考えである人工知能の考え方は、今後健康管理情報として種々多様な形の情報を入力する必要がでてくることが予想され、この情報を有機的に結びつけるプログラムの開発が必要となってくる時に、有力な手法として利用することができると思われる。 また、これまでに入力した情報から学童期の体格と成人期の検査データとの関連が示唆されたこと等は、生涯健康管理の必要性が再確認されたと言える。
|