研究概要 |
微量の血痕からのLewis式血液型の判定を行うのに、ELISAのABC系にけい光免疫反応(ELFA)系を応用し高感度の反応系を確立し、またデーター処理装置を導入し、以下の結果のように型判定の自動化を可能にした。 1.ABC法を用いたELFAを確立するために、以下の問題点を明らかにした。 (1)アビジン(A)とビオチン(B)化アルカリフォスファターゼ(Alpase)の最適モル比は、Alpaseに結合しているBの量に依存するが、AとBのモル比はおよそ1:10〜1:12が至適であった。またこのELFAに用いるときのABC試薬の濃度は、ELISAに用いるときのそれの約8分の1で十分であった。 (2)反応系で一次抗体として用いる抗【Le^a】、【Le^b】モノクローナル抗体は、10,000倍希釈程度が最適であった。なおその他の条件は、ELISAの条件に準じて実験を行ったところ、次のような結果が得られた。すなわち、乾燥Le(a+b-)、Le(a-b+)血痕とも少なくとも約0.1mgあれば十分であり、ELISAの10倍の感度が得られた。さらに低希釈度の抗体が使用可能であることから、ELISAよりも本ELFAの方が、型判定がきわめて容易であることが明らかになった。 2.データー処理装置のソフトウェアは、ELFAの反応系で最終的に発光する4-メチルウンベリフェロンのけい光強度を読み取り、自動的に型判定するものである。すなわち、試薬ブランクを血痕のないウェルのけい光強度(対照)から差し引き、この対照のけい光強度を100%とする。次に血痕の入っているウェルのけい光強度の減弱度が、50%未満の場合を陽性(+)とし、50%を超える場合を陰性(-)と読み取り判定させるようにしてある。本装置により96穴のプレートの型判定が3分以内でプリントアウトされる。
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