アビジン・ビオチン複合体(ABC)系を用いるELISA(酵素免疫測定法)あるいはELFA(酵素免疫けい光測定法)を、唾液のABH式血液型および血痕、唾液それに爪のLewis式血液型の判定に応用し、以下の成果が得られた。 1.微量の唾液からのABH式血液型の判定に本ELISAを応用すると、従来の凝集素吸収試験では判定し得なかった非分泌型の微量の唾液からも正確に型判定が可能であった。 2.本ELISAに抗Le^a、抗Le^bモノクロニナル抗体を応用することによって、血痕からのLewis式血液型判定を試みたところ、約1mgの血痕があれば、それぞれの型判定が容易に可能であった。 3.ELFAを確立し、これを微量の血痕からのLewis式血液型判定に応用したところ、0.1mgの血痕からその型判定が可能であった。 4.唾液斑中のLewis式血液型判定を試みたところ、Le(a-b+)型唾液でもLe^a型物質を種々の割合で分泌しているが、Le^b型物質の分泌量の方が常に優っていた。Le(a+b-)型唾液でも全く同様の成績が得られた。一方、Le(a-b-)型の型物質の分泌量は、他の2型と比較して著しく少ないので、少なくとも希釈唾液の2〜3点を測定すれば、その型判定は容易であった。 5.硬組織の1つである爪にもLerwis型物質が存在していることが明らかになったが、血球側のLewis式血液型を反映していないことも示された。 6.血痕のMN式血液型判定も検討したが、満足すべき成績は得られなかった。これは使用した抗体の性質に依存しているように思われる。 7.血液型判定を自動化する目的でソフトウェアを開発した。これを用いると、96穴のプレート1枚の型判定に要する時間は、3〜4分で済み、正確に読み取れることを可能にした。
|