研究概要 |
B型肝炎慢性化の要因としてはB型肝炎ウイルス(HBV)の持続感染とHBVに対する免疫応答の低下が重要であり、B型慢性肝炎の治療法として抗ウイルス療法と共にHBVに対する免疫応答の賦活化及びHBVの排除を目的とする種々の免疫療法が試みられている。またB型慢性肝炎に対する免疫療法をより有効たらしめるためにはHBVによる抗原特異的及び非特異的免疫阻害作用を排除する必要がある。 近年、血中高分子量物質を比較的選択的に除去する方法としてDoublefiltration plasmapheresis(DFP)の開発が見られている。本研究ではDFPを用い免疫阻害物質と想定される血中HBs抗原濃度の低減をはかるにあたり、生体slmulation系におけるHBs抗原排除率について基礎的検討を加えた。 DFPは一次カラムとして血漿分離器(plasmacure,Kuraray)、、二次カラムとして血漿成分分離器(Evaflux 4A,Kuraray)を用いた。 分子量【10^6】以上の物質を効率よく分離する特性を持つEvaflux 4AのHBs抗原除去率は97%で、アルブミン29%、IgG40%、IgA52%、IgM72%に比し極めて良好な除去率を得た。さらにHBs抗原陽性血漿2.000mlを用いた生体モデルでDFPを施行。90分間で1.800mlの血漿を処理し、HBs抗原の排除率67%との成績を得、アルブミン損失率9%に比し効率よく選択的に血中HBs抗原の排除が可能であった。従ってDFPはB型慢性肝炎に対する免疫療法の補助手段として臨床応用が可能であるとの結論が得られた。
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