研究概要 |
モノクローン抗体による診断法に関する研究では、脳特異抗原としてミエリン組織に高度に局在するCNPタンパクを取り上げ、その精製及びモノクローン抗体の作製を試みた。ウシ脳白質ミエリン組織を出発材量として比活性で約200倍の部分精製標品を得た。これを抗原としてLewisラットに免疫し,常法に従いマウスミエローマSP-2と融合させた。約10000個のハイブリドーマをスクリーニングしCNPと反応する2個のクローンを得た。このモノクローン抗体はいずれも【IgG_(2C)】で、CNPとは結合するが酵素活性部位とは反応しなかった。本モノクローン抗体を用いて中枢ミエリン構成タンパクをイムノブロット法にて検索したところ分子量45Kdと43Kdに相当する2種の分子種の存在が示された。また末梢ミエリンにもCNP活性は存在するが本抗体と反応するタンパクは存在しなかった。更に免疫組織化学的検索によっても中枢ミエリンはPAP染色されるが末梢ミエリンは染色されなかったことから中枢と末梢ではCNP分子が異なることが示された。また今回得られたモノクローン抗体は中枢CNPを特異的に識別するものであった。 遺伝子プローブによる診断法に関しては、中枢ミエリンに局在するタンパクに対応するcDNAの取得を試みている。既にMBPに対するマウスcDNAを取得しており、PLP、CNPに対するマウス及びヒトcDNAをスクリーニングしている。診断法に関しては、ミエリン形成不全を呈するShiverer及びmldミュータントマウスをモデルとして、MBP cDNAをプローブとしてサザーン法で検討した。ShivererではMBP遺伝子が欠損していたが、Shivererと遺伝的にalleleであるmldではサザーン法では変化は認められず、発現調節領域あるいはイントロン領域の変異であることが示唆された。
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