研究概要 |
昨年度の研究によって医用直線加速機X線によるスリットビーム回転照射について 1)ビーム制御方式の確立 照射口の回転とガントリー回転を種々の関係で連動させる機構の製作とそのテスト、再現性の確認を行った。 2)線量分布の測定 回転中心で3〜4mm厚みのスリットビーム回転に伴う線量分布をTLD素子及びフィルム法で測定した。 3)出力線量増加法 スリット使用による線量率減少に対処するためイコライザーを平板状の鉛とし約40%の線量増加を得た。 この結果にもとずいて本年度は臨床実験を行い発表論文に示す様に良い結果を得た。 即ち、本治療法を悪性神経膠腫に用いた。照射法としては一般的外照射、4,000rad后ブースト照射として本治療を加えた。この腫瘍は難治性で定評のあるものであるが歴史的コントロールに比して良い生存率を示した。 更にこの結果にもとずいて本照射のための専用装置を作り、現在の欠点であるX線出力の増加、焦点サイズの縮小、余分なコリメータの撤去を行ないより広い適応とより多くの症例に応用する目的で株式会社東芝と打合せを行なった。この結果、その様な装置の試作は技術的に可能な旨の報告を受けた。今後予算的な裏付けが得られれば可及時速かに専用装置の試作に進む予定である。
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