前年度に出願した国有特許「呼吸同調送気式濃縮酸素供給装置」に基き、呼吸同調制御方式を組み込んだPSA型酸素濃縮装置は患者の酸素吸入効率のみならず装置自体の酸素濃縮効率をも向上させることにより、装置の小型化が可能となった。そこで重さも大きさも消費電力も従来型の約2/3の酸素濃縮装置を開発した。これは連続的に90%以上の酸素を毎分2lまで供給できるが、これを呼吸に同調させて吹送と停止を繰り返せば、吸気の初期に吹送する時間よりも、吸気終末から呼気相にかけて供給停止する時間の方が2倍以上長いと、7l/分の高濃度で吹送しても産出ガスの酸素濃度は90%以上に保たれ、停止と吹送時間が半々でも7l/分の吹送量で70%【O_2】となった。さらに騒音を著しく低下した。これに新しく出願した国有特許「呼吸同調式ガス吹送装置」を上手に組み合わせると、装置をさらに小型化できるので、0.6l/分連続で90%【O_2】を目標とした小型装置を作成中である。また呼吸同調制御回路も小型化して実用性を向上した。今回の開発の要点は、マイクロプロセッサー組み込みにより、過去の平均正常呼吸周期を割り出して、それから大きくはずれる攪乱要因に対して、警報その他で安全性を向上したこと、および酸素の吸入効率を最高に上げるために、【◯!1】呼気終末時に死腔を洗う酸素ガスの吹送を先行させること、【◯!2】吸気初期に酸素吹送ピークを合わすこと、【◯!3】吸期終末時に死腔を満たすのに使われている酸素ガスを無駄にしないように早目に吹送を止めること、の3点を別々に適正な予測制御が可能なような工夫を行い、これの国有特許申請を行ったことである。引き続き種々な呼吸パターンの再現を可能とする自発呼吸シュミレータを作製して呼吸に同調させる吹送条件を模凝実験により確認しているところであるが、実用モデルが完成したので来年度からは患者を使って、その適用、不適用などを見極めながら完成度に磨きをかける予定である。
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