研究課題
試験研究
本研究は、まず酸素濃縮装置の小型化と同調制御装置の制御方式の検討ならびに小型化を平行して進めた。酸素濃縮装置を小型化するにあたって、吸着剤の再検討を行い、初年度で従来型の約2/3まで小さくすることができた。この作製した装置を使った同調式吹送実験では、吸気/呼気時間比が1/2であれば7l/分の高流量でも90%以上の酸素濃度を維持共給でき、さらに小型化できるものと判断した。一方、同調装置については、正常状態での呼吸に十分に追隨できる基本的電子回路の検討に加え、変則呼吸、即ち、吃逆咳等の種々外乱要因を踏まえ、吸気、呼気時間、呼吸振幅等を記憶して予測制御を可能とするマイクロプロセッサ組み込み型制御方法、及び呼気、吸気時に死腔によって無駄となる酸素ガスを少なくするべく呼吸シミュレーションモデルを使い呼吸生理学面からの検討を行ない、最適な同調制御電子回路の確立を企った。以上の結果を受けてMED952型呼吸同調式医療用酸素濃縮装置を完成させた。装置はサイズ30×26×40cm、重さ、24kg、消費電力160W(AC100V 60Hz)、吐出流量(8段階選定方式)0.3〜3.5l/分と改良小型化に成功した。装置の性能は、非同調時(手動の他安全装置として自動的に恒常流に切り換る)1l/分で93%、2l/分で65%の酸素を得ることができるが、通常運転時(同調時)では吸気/呼気時間比が1/2の場合で2.7l/分まで、1/1の場合でも1.7l/分まで90%の酸素を供給できる。同調性能も種々な呼吸に十分に追隨できるものとなり、また、流量の設定は誰でも何時でも簡単に設定できる段階式流量セレクト方式とした。一方で同調吹送法は将来性のある手段との観点から、諸外国に先んじて携帯用の同調装置(SYNCOXY)の開発も手掛けた。これは携帯用ボンベに接続使用することによって移動時間を倍増させ、酸素吸入を必要とする在宅患者の総合的バックアップが可能となった。
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