ヒト体外受精法の普及にともない、配偶子及び初期胚の保存は、歪学分野においても重要な関心事となっている。 すでに畜産分野では、1972年Whittinghamがマウス8細胞期胚の凍結に成功して以来、多くの報告があり、近年ヒトにおいても体外受精プログラムの中で、凍結保存胚の移植で生児を得たとの報告がある。 我々はプログラムフリーザー(大阪酸素FFP-190)を使用し哺乳類特にマウスの初期胚及び卵の凍結保存法の基礎的検討を行なった。 凍結保護剤はDMSO(ジメチルスルフォキシド)を使用、凍結プログラムとしては植永操作をともなう毎分0.3℃の緩速凍結法を用い、液体窒素中(-196℃)に保存した。37℃温湯に浸す急速融解法にて、マウス8細胞期胚で回収胚の約70%に以后の発生をみた。融解速度を毎分2℃にした場合の回収胚の発生率は約10%であった。 1〜4細胞期胚の保存では、ほぼ同様の方法を用いて、1細胞期受精卵で16%、2-4細胞期胚で38%の発生率を得た。 体外受精にともなう余剰卵及び胚の保存が現実問題として必須であり、これ以后、凍結保存の安全性に関し、形態学的、生化学的に充分な安全性の検討を加えた後、ヒト卵・胚に対しての応用を考慮する予定である。
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