研究概要 |
1.気管口接合部の素材と口径:無喉頭者の気管開口部周囲の皮膚に直接触れる気管口接合部として、従来型の欠点(冬季には肌に冷たく、接触感も悪い)を改善し、新型人工喉頭では年間を通して四季の気温変化に関係なく、ほとんどその軟度が変らないこと、および接触感が良いことの理由により「シリコン」が最適の素材であることがわかった。また、気管口接触部の内径は35〜42mmが適していた。 2.音源部の形状:当初考えていた硬貭薄地プラスチック製の楕円形(長径:15mm,短径:6mm)では、音源部自体が振動を生じ、呼気の進行方向と平行に貼られたゴム膜の振動音による発生音はそのピッチが不安定で音貭が悪く、強さもきわめて弱いことがわかった。そこで種々検討の結果、硬貭プラスチック(またはポリエステル)製のパイプを用い、斜口面に振動膜を貼ることが好ましいことが明らかになった。 3.音源用振動膜の素材:現在用いられているゴム膜の他、アルミ箔もその発生音の強さとピッチの安定性から新しい音源素材として実用が可能であることが示された。 4.発生音の強さとピッチ:試作した音源部の音声分析の結果、(1)従来型人工喉頭では、強さは45.5〜52.7dB,ピッチは93.7〜106.4Hzであった。(2)新型試作品のアルミ箔では、強さは38.6〜54.4dB,ピッチは223.0〜378.1【H_2】(強い呼息では530.5〜966.2【H_2】)であった。アルミ箔の厚さならびに形状、さらに貼り方を変化させることにより、かなり広周波数帯域の音を発生させることができた。 5.接続チューブの素材と直径:音源部のみによる音の強さとピッチは、それに接続するチューブの素材と直径、さらに長さにより産生する音貭とピッチが著しく変化した。この点、今後の検討課題である。目下、臨床テストのための器具作製の準備を進めている。
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