研究概要 |
薬剤の局所投与法と全身投与法の効果について検討するため、急性歯周膿瘍を主訴として来院した患者を対象にして、調査した。使用した薬剤は、テトラサイクリン,ミノサイクリンの2種とし、それぞれを、局所投与群と全全投与群にわけた。内訳は、テトラサイクリン局所投与群7名,テトラサイクリン全身投与群9名,ミノサイクリン局所投与群7名,ミノサイクリン全身投与群6名で、計29名だった。診査は、疼痛を主とし、他に、プロービングデプス,ブリーディングオンプロービングについて行なった。疼痛の程度については、初診時と投薬7日目の診査の他に、アンケートにより、投薬後3時間,6時間,9時間,1日後,3日後,6日後についても調べた。プロービングデプスとブリーディングオンプロービングについては初診時と7日目に診査した。その結果、プロービングデプスについては、4群間に有意差はなく、また、初診時と7日目の間にも差は認められなかった。ブリーディングオンプロービングについては、投薬後の消失率に、4群間で差は認められなかった。疼痛の程度については、はじめの1日目までで、著しく改善が認められた。また、その改善の程度については、4群間で有意な差は認められなかった。 以上より、局所投与と全身投による臨床症状の改善には、両者間に差は認められず、全身投与量が(テトラサイクリン750mg×3、ミノサイクリン、200mg×3)局所投与量(テトラサイクリン、ミノサイクリン共に、0.3〜1.8mg)と著しく少量ですむことが分かった。このことは、薬物の副作用などを考えると、臨床上、非常に有利なとと思われる。
|