研究概要 |
歯科材料の第2段階の安全性試験項目を粘膜刺激、皮下埋八、感作の諸試験とし、本年度(1)口腔粘膜刺激試験、(2)皮下埋入試験ならびに(3)組織刺激性の非動物試験法の開発研究を行った。 (1) 口腔粘膜刺激試験法:雄性7週齢ゴールデンハムスターを各群5匹とし麻酔し、頬袋を引き出し、NiCr合金および即時重合レジンの円盤形試料(直径5mm,厚さ0.5mm,4隅に直径0.5mm穴をあけたもの)を粘膜に接触させた状態で縫合した。陰性対照としてグッタペルカ、陽性対照として塩化ビニルの各円盤形試料を用いた。2週間飼育後、粘膜を切り出し10%中性ホルマリン固定し、病理組織自動固定包埋装置(本補助金で購入)により包埋し、病理組織検査を行った。レジン群の粘膜は肉眼所見で瘢痕形成、肉芽様増殖、発赤が認められた。組織所見では上皮は肥厚し、細胞核は膨化し、染色性が低下していた。 (2) 皮下埋入試験法:ハートレー系モルモット(体重約700g)およびウィスター系ラット(体重150g)各群5匹とし、NiCr合金、コンポジットレジンの円柱状試料(直径1.3mm,長さ5mm)を作成しテフロンチューブに挿入してから背部皮下に埋入し、2週、12週後に屠殺し、埋入部位組織の通法による病理組織検査を行った。モルモットにおけるNiCr合金埋入2週間後では細胞浸潤をともなった線維組織で被包され12週後では一部肉芽組織が認められた。コンポジットレジン群では2週間後に炎症性細胞の浸潤があり12週後にも認められた。両動物の組織反応の比較によりラットでは被包化が良好で炎症性細胞の浸潤は軽度であった。 (3) 非動物組織刺激性試験:上皮性培養細胞(MDCK,LLCPKI)をマルチウエル中に10個/1ml播植し炭酸ガス培養器中で培養した。4日後に単層の上皮膜が形成された。Ni【Cl_2】を【10^(-7)】〜【10^(-3)】M投与すると濃度に依存して細胞間の結合が破壊されるのが倒立顕微鏡(本補助金で購入)で観察された。
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