研究概要 |
インターロイキン2(IL2)は癌細胞の免疫学的破壊に関与すると考えられるCTL,LAK,NKなどのキラーリンパ球の誘導や活性化の作用を有している。本研究では口腔癌患者リンパ球の試験管内IL2処理によるキラー活性の誘導について検索すると共に、初期第2相臨床試験として口腔癌におけるIL2による免疫療法の開発について研究した。 口腔癌患者の末梢血リンパ球(PBL)およびリンパ節細胞(LN)をIL2の存在下で試験管内で5日間培養してキラーリンパ球を誘導した。キラー作用の測定は、NK活性にはK562細胞,LAK活性にはNK非感受性のDaudi細胞,口腔扁平上皮癌由来細胞株のNA細胞,Ca9-22細胞などを標的とした4時間の【^(51)Cr】遊離法によって行なった。その結果、口腔癌患者のPBLおよびLNはIL2の作用によりDNA合成の促進を示して増殖し、同時にキラー活性の上昇を示した。キラー活性は培養後2〜3日後よりNK活性が、次いでやゝ遅れて4〜5日からLAK活性が増強した。これらの作用はPBLでもLNでも同様で、IL2の添加培養前のNK活性はLNはPBLに比して極めて低いが、IL2添加によりLNもPBLと同じく強いNK活性とLAK活性が誘導可能であった。 また細胞表面抗原をモノクローナル抗体を用いて検索し、キラー細胞およびその前駆細胞の表面マーカーについて検討したところLeu11陽性細胞が主体であることが示されたが、Tリンパ球マーカーも検索中である。 初期第2相臨床試験として口腔癌患者にIL2を投与した症例は現在までのところ8例で、IL2点滴静脈内投与によりNK活性,LAK活性の上昇がみられており、IL2の術前腫瘍内局所投与例では臨床的腫瘍縮小傾向を認め、PBLのみならず切除物のLNでもキラー活性が上昇している症例が何例かにおいて示された。
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