研究分担者 |
鳩野 俊三 湧永製薬株式会社, 中央研究所, 研究員
松浦 広道 湧永製薬株式会社, 中央研究所, 研究員
水谷 健二 広島大学, 医学部, 助手 (80136051)
笠井 良次 広島大学, 医学部, 助教授 (10034018)
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研究概要 |
60年度において、三七人参の生体防御機構活性化多糖体を、半硬質の親水性ポリビニルゲル、それにイオン交換性を持たせた担体、更に親水性ポーラスポリマー樹脂を用いた高速液体クロマトグラフで分離し、更にグルコアミラーゼで処理して、サンチナン-Aと命名した活性多糖体を分離した。 1.三七人参の生体防御機構活性化多糖体の研究:今年度はこのサンチナン-Aの化学構造を次のように決定した。本物質はガラクトースとアラビノース(3.3:1.0)で構成され、ゲルろ過法で測定した分子量は1.600,000である。更に、メチル化分析、C=13NMR、スミス分析等の結果、β-1,3-ガラクタンを主鎖とし、その6位に6-α-アラビノフラノシル-β-1,3-ジガラクトピラノシル残基を持つ多糖体であることを明らかにした。 本物質はラットを用いたカーボンクリアランス試験で極めて強い活性を示し、三七人参の血液浄化作用・生体防御機構活性化作用に重要な役割を持つものと考えられた。 2.竹節人参,薬用人参の生体防御機構活性化多糖体の研究:今回研究された多糖体の製造的分離の手法を用いて、竹節人参よりカーボンクリアランス試験で強い活性を示す多糖体3種を分離した。その内の一つはβ-1,4-ガラクタンであり、一つはその6位に5-α-アラビノフラノシル-α-アラビノフラノシド分枝を持つ多糖であることを明らかにした。薬用人参からも上述の手法を用いて、活性多糖体を得たが、三七人参とは異なり、その構成糖は遙かに複雑である。人参属植物において三七人参と薬用人参とはサポニン組成に関しては近似しているが、多糖体成分では何成りの差があることが証明され、今後の研究に方向性を与えることができたと考える。
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