研究概要 |
62-亜鉛,62-銅は核医学診断に適した実用性の高いポジトロン放出金属放射性核種である。また、62-亜鉛を親核種とする62-銅製造ジェネレータの開発が可能である。本研究は62亜鉛,62-銅のそれぞれの特徴を生かしたポジトロン放射性医薬品の開発ならびに62-銅製造ジェネレータ開発を基礎的に検討し、以下の研究成果を修めた。 1.62-亜鉛膵機能診断薬剤ならびに膵臓がん診断薬剤の基礎的検討 マウスおよび犬における基礎的検討から、62-亜鉛エチレンジアミン二酢酸錯体で投与された62-亜鉛は、高い選択性で膵臓に移行し、膵臓内で、カルボキシペプチダーゼに結合することが見いだされた。さらに、セクレチン、cck-PZのホルモン刺戟で、62-亜鉛の膵管への移行が認められた。こうした62-亜鉛の膵臓内の動向は、犬による膵臓の画像化でさらに明確にされ、62-亜鉛錯体の膵臓外分泌機能核医学への有用性が強く示された。それと同時に、担がんマウスの検討で、原発性膵臓がん診断への適用が示唆された。 2.62-銅二官能性キレート薬剤開発の基礎的検討 ジチオセミカルバゾーンをキレート形成部位とする99m-テクネチウム二官能性キレート薬剤研究の成果を踏まえ、各種活性アミンおよび高級脂肪酸を母体にする同タイプの機能性62-銅二官能性キレートを合成した。これらの体内分布挙動に、62-銅との安定な錯形成と母体化合物の生理活性機能が反映された心筋,膵臓などへの特異的な集積が認められ、それぞれの機能診断への応用性が考えられた。また、グルコースを母体化合物にする二官能性キレートを併せて検討し、その基礎的成果を修めた。 3.62-銅製造ジェネレータに関する基礎的検討 62-亜鉛吸着カラムから、62-銅を分離、溶出する条件を調べ、62-銅製造ジェネレータ開発の可能性を認めた。
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