研究概要 |
研究代表者らは, 骨形成或いは骨吸収の機作といった基礎的な面から, 骨粗鬆症治療薬の探索, 開発といった応用的な面にまでわたり, 実験を行った. 1.基礎的側面:(1)生理的骨石炭化因子の解明-自身で開発したinvitoro骨形成実験系で, 骨石炭化にはPTH,1α,25-(OH)_2D_3,24R,25-(25)_2D_3の共存が必須であることを示したが, その時同時に必要な胚浸出液中の未知或分については, これが極めて不安定で同定には至らなかった. (2)骨吸収作用評価invitoro実験系の確立-上記invitoro骨形成で用いるニワトリ胚で, 骨吸収をも測定する実験系を確立することを目指し, ^<45>Caで前標識した大腿骨を培養し, 溶出する^<45>Ca量の経時変化から骨塩の生物学的半減期を計算する全く新しい方法を確定した. これにより, 骨吸収活性を抑制することによって骨粗鬆症の治療を目指す物質のスクリーニング及びそれらの定量的比較が可能となった. 2.応用的側面:上述の複雑な整理的因子を代替し得る骨石炭化促進作用物質について探索し, 酸性ムコ多糖のカルシウム塩を有望な候補としてとりあげた. (1)Invitoro実験-上記のinvitoro骨形成及び骨吸収実験系を併用してスクリーニングした結果, コンドロイチン硫酸カルシウムが骨吸収抑制と骨形成促進の両活性を持つことがわかり, 理想的な骨粗鬆症治療薬候補物質と結論された. (2)Invitoro実験-卵巣摘出・低燐低カルシウム食飼育によって作製した実験的骨粗鬆症ラットについて, 上記のコンドロイチン硫酸カルシウム添加飼料による治療実験を行ったが, 時間的, 経費的制約もあって, 現在までのところでは, 対照薬としての乳酸カルシウムや炭酸カルシウムをしのぐ治療効果を示す投与条件を発見するには至っていない.
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