研究概要 |
1.病理組織顕微画像のカラー画像処理:本年はまず脳梗塞のH.E.染色病理標本を対象とした。テレビカメラで顕微画像をRGBのディジタル画像としてコンピュータ上に取りこみ、画像処理により梗塞部位と正常部位とを鑑別する判別関数を求めた。この判別関数を用い、入力された顕微画像を2値化し梗塞領域、正常領域を画像として表現した。本法による鑑別は病理医による判断とほぼ一致した。更に肉眼では判別困難な低倍率でも鑑別可能であり、梗塞領域のマーキング、梗塞領域と正常領域の比等と瞬時に得られる等有用であった。現在他の染色法における判別関数、鑑別能の向上に関しさらに研究を進めている。 2.生体機能画像データベース:生体機能画像ではX線画像等構造画像と異なり患者情報、撮影条件のみならず診断に至る画像処理の過程をもデータベース化する必要がある。そこでまずコンピュータ上でインタラクティブに行われる画像処理過程をマン・マシン・インターフェースに知識獲得、データベース作成機能を付加することにより知識ベースシステムとする手法を開発した。本手法により操作者に負担をかけることなく画像診断の過程を明確に記録することが可能になった。同時に診断過程を順方向あるいは逆方向に自由に辿れることから、診断過程の検証、初学者の学習に有効であった。現在、鑑別診断機能を実現すべく研究中である。 3.臨床評価:現在、脈管外科,整形外科,麻酔科,ペインクリニック,神経内科等においてサーモグラフィ画像処理システムの臨床応用がすすめられている。すでに機能性,器質性末梢血管障害の鑑別,脊椎脊髄疾患の診断,有痛性疾患の検出,脳幹障害の診断等の成果が得られている。
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