レーザー励起リポソーム融合・破壊装置については、フラッシュランプ励起色素レーザーの組立と発振制御用のコンピューターインターフェースの製作を完了し、ローダミンによる可視光の発振は可能になった。一方、リポソーム融合・破壊の観測系については、螢光、光散乱強度の変化を観測するためにはレーザー光とは別に、励起光を連続的に照射する必要があり、そのために特殊なセル部分を設計・製作した。さらに破壊によるリポソーム内液の漏出を検出するために電導度の変化を利用することを目指して電導度セルの製作を行いつつあるが、これはほぼ完成に近付いている。また螢光、光散乱強度、電導度変化の観測時間がマイクロ秒から分、時間の広領域に及ぶため、全領域に亘って制御可能なコンピューターインターフェイスとプログラムの開発を行った。 リポソームの調製については、従来のfreeze-thaw-sonicate法に加えて透析法を導入した。透析槽内部の試料溶液を撹拌し、透析外液を連続的に供給する手段で大量調製の方法を確立した。これまでに西洋ワサビのペルオキシダーゼや、pH指示薬を封入したリポソーム標品、また呼吸酵素であるチトクロム酸化酵素や、バクテリオロドプシンで再構成したリポソームの調製に成功している。とくに酸化酵素リポソームとロドプシンリポソームをカルシュウムイオンの存在下で融合させた場合、光照射によって呼吸活性が促進されることを観測し、融合を判定する一つの指標を確立した。
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