研究概要 |
上丘-下丘間除脳固縮(γ-固縮)および貧血性除脳固縮(α-固縮)はネコにおける薬理学的および生理学的研究に用いられてきた。しかしながら、取り扱いが容易であるため、行動学的研究および神経化学的研究にはラットが用いられる。我々は中枢性筋弛緩薬の評価のために、ラットを用いて両種類の固縮モデルを作製してきた(Fukuda et.al.,1974; Togari et al.,1978). 上丘-下丘間除脳固縮の成功率は、出血による脳圧迫またはスパーテルを正確に操作することが困難であるため、高くはなかった。このような問題を避け、また良好な固縮標本を作製し、容易な除脳法を確立するために、ラット中脳の高周波による破壊を試みた。 上丘-下丘間除脳固縮を選択的に抑制するクロルプロマジン(CPZ)および中枢性筋弛緩薬メフェネシンの効果を高周波除脳固縮に対して評価した。 1.ラットの除脳固縮を作製するための無出血法を確立するための中枢の両側性高周波損傷を行なった。 2.随意運動の出現なしに、後肢の著明な伸展性固縮が高い再現性で発現した。 3.上丘-下丘間除脳固縮を抑制するCPZ-HCL(0.1-1mg/kg,i.v.)およびメフェネシン(10-50mg/kg,i.v.)は高周波除脳固縮を抑制した。 4.これらの結果は、高周波除脳固縮は薬理学的および生理学的研究において上丘-下丘間切断除脳固縮の替わりに用いることが可能であることを示唆する。
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