研究課題/領域番号 |
60880018
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
井上 圭三 東大, 薬学部, 教授 (30072937)
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研究分担者 |
岸本 文貴 住友化学宝塚総合研究所, 生命工学研, 主任研究員
荻野 重男 住友化学宝塚総合研究所, 生命工学研, 主席研究員
梅田 真郷 東京大学, 薬学部, 助手 (10185069)
小林 哲幸 東京大学, 薬学部, 助手 (50178323)
工藤 一郎 東京大学, 薬学部, 助教授 (30134612)
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キーワード | 大腸菌 / 組換えDNA / シグナル配列 / ホスホリパーゼ / 分泌ベクター / 細胞外分泌 / ウロガストロン遺伝子 |
研究概要 |
蛋白質、ペプチド性の有用物質の生産に、組換えDNA操作による大量生産が現実化されて来ている。その場合、産生される蛋白質を宿主細胞外へ分泌、蓄積させる方が産生蛋白質の安定性,生産量,有害物質の混入等の観点から有利である。本研究では、大腸菌の外膜に局在する唯一の酵素蛋白質であるDR-ホスホリパーゼAのシグナル配列を利用し、大腸菌を宿主とした新しい効率の良い分泌ベクターを開発することを目的とする。研究の第2年度として、本年度は以下の様な成果が得られた。 1.分泌ベクターの調製--昨年度に調製したベクターとしての基本条件を備えたプラストミドpPLD202(DR-ホスホリパーゼA遺伝子pldAのプロモーターおよびシグナル配列とその直後にマルチクローニングサイト、さらにpldAの転写終止配列よりなる)に加えて、新たに2種のプラスミドを作成した。即ち、pPLD202のpldA由来プロモータの代わりに強力なプロモーターとして知られるtac、あるいはコンセンサスプロモーターを導入し、各々、pPLD40とpPLD50を調製した。 2.ウロガストロン産生応用への試み--上記3種の分泌ベクター候補に、各々、ヒトのウロガストロン遺伝子を挿入し、宿主菌での発現をRadio Receptor Assay法により検討した。その結果、pPLD202に挿入したものでは発現が見られなかったのに対し、tacおよびコンセンサスプロモーター支配下のプラスミドでは、1mlの培養液(菌体を含む)中約5ng/mlと有意な産生が認められた。しかし、実用化にはまだ不十分であった。 今後は、さらに以下の点に関して改良を加える予定である。(1)ベクターと外来遺伝子の相性を考慮し、フィトリゾチーム等の他の遺伝子発現に応用する。(2)成熟DR-ホスホリパーゼAのN末一部を有した融合蛋白質として産生させることを試みる。
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