研究概要 |
B.moogeniの産生するトロンビン様酵素、デフィブラーゼ、の遺伝子をクローニングする目的で、以下の知見を明らかにした。 1.デフィブラーゼの精製とそのN末端アミノ酸配列の決定 : 部分精製デフィブラーゼ(ペンタファーム社製)より、アフィニティークロマト法、イオン交換クロマト法、ゲルろ過法により、本酵素を均一に精製した。精製酵素を用いて、本酵素の分子量(34,000ダルトン)及び、N末端アミノ酸配列(20アミノ酸残基)を明らかにした。 2.DNAprobeの合成 : 本酵素のN末端アミノ酸配列を3番目から12番目のアミノ酸配列の遺伝子コードを推定し、これに対応する29merのDNAprobeを全自動DNA合成機により合成した。 3.B.moogeniの毒腺のmRNAの単離 : B.moogeniの毒腺より、フェノール法、オリゴ(dT)セルロースクロマト法により、mRNAを単離した。単離したmRNAをアガロースゲル電気泳動法により分析したところ、このmRNAはintactな形で単離されていることが明らかになった。さらに、上記の合成DNAをprobeとして、このmRNAのNorthern分析をしたところ、合成DNAは1.7K塩基に相当するmRNAと強く結合することが明らかになった。このmRNAは本酵素をコードするに十分な長さをもっていると考えられる。 4.B.moogeniの毒腺のcDNAライブラリーの作製とそのスクリーニング : 上記のmRNA標品を鋳型として、Gl【u!¨】ber法により、二重鎖cDNAを合成し、λgt11DNAをベクターとして、組換DNAを合成した。この組換DNAをファージ粒子にパッケージし、cDNAライブラリーを作製した。上記の合成DNAをprobeとして、このcDNAライブラリーをスクリーニングし、10個の陽性クローンを単離した。これらのクローンは同一のmRNAから由来したと推定され、現在、これらのクローンの塩基配列の決定を試みている。
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