研究概要 |
1.B.moojeniの毒腺よりフェノール法により全RNA画分を単離し、オリゴ(dT)セルロース カラム法によりmRNA画分を調製した。得られたmRNAを鋳型にし、二重鎖cDNAを合成し、λgt11DNAをベクターとして、cDNAライブラリーを調製した。 2.トロンビン様酵素のN末端アミノ酸配列に対応する28merの合成DNAをプローブとして、上記のcDNAライブラリーをスクリーニングし、10個の陽性グローンを得た。 3.上記のcDNAインサートのうち、最長(約1,500bp)のcDNAインサートをプラズミドDNApUC13に再クローニングし、cDNAインサートを大量に調製した。このcDNAインサートの塩基配列をM13-サンガー法により決定した。その結果、このcDNAインサートは1523bpよりなり、765bpのオープン リーディング フレームを含むことが明らかになった。 4.トロンビン様酵素より決定されたN末端アミノ酸配列(23アミノ酸残基)と完全に対応する配列が、cDNAより推定されたアミノ酸配列に見出され、このcDNAはトロンビン様酵素cDNAと同定された。 5.cDNAより推定されたアミノ酸配列より、トロンビン様酵素は231アミノ酸残基よりなり、255アミノ酸よりなる生合成前駆体(シグナル ペプチドおよびプロ ペプチドを含む)から生成することが明らかになった。 6.解明されたトロンビン様酵素のアミノ酸配列にはトリプシン,カリクレインなどの哺乳動物由来のセリン プロテアーゼのアミノ酸配列と著しいホモロジーが見出された。また、このホモロジー解析より、トロンビン様酵素の活性残基(His-41,Asp-86,Ser-178)と6対のジスルヒド結合の位置を明らかにした。
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