研究分担者 |
三橋 進 東菱薬品, 大森研究所, 所長代理
菅原 一幸 京都大学, 薬学部, 助手 (60154449)
船越 育雄 京都大学, 薬学部, 助手 (10025702)
MIHASHI Susumu Omori Institute, Tobishi Pharmaceutical Company, Ltd.
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研究概要 |
ガラガラ蛇の一種であるBorthsops atrox, moojeniの毒液から抽出, 精製されたバトロキソビンはトロンビンと異なりフィブリノゲンのA鎖にのみ作用する. その結果, 血液粘度を低下させ, 末梢循環改善の医薬品としての効用が期待されている. 資源量の限られている本酵素を遺伝子操作によって大量に製造して医薬品として供給するべく, 先ず, cDNAを調製して, そのヌクレオチド配列を決定し, これに基いてアミノ酸配列を推定した. 配列決定は最長のcDNAインサートについて行った. このcDNAは/523bpより成り, 765bpのオープン リーディング フレームを含んでいた. 配列決定の結果, バトロキソンは231アミノ酸残基より成り, 255アミノ酸より成る生合成前駆体から生成することが分かった. アミノ酸配列はトリプシン, カリクレインなどのセリン・プロテアーゼの配列と著しいホモロジーを示した. 活性残基として, His-41, Asp-86, Ser-178が, 6対のジスルフィド結合を形成するシステインの位置がそれぞれ推定された. 続いて, cDNAをプローブとして遺伝子解析を行い, バトロキソビン遺伝子の構成がトロンビンよりはむしろトリプシン/カリクレインの遺伝子に類似していることを明らかにした. cDNAを用いて大腸菌内でバトロキソビン活性をもつタンパク質を発現させることを試みた. Trpプロモーターを含み, 血液凝固第XIII因子のN末端領域に対応するDNAにバトロキソビンcDNAを連結させて大腸菌内で発現させた結果, 培養液1lから約30mgの, バトロキソビンに対する抗体と反応するタンパク質が得られ, ジスルフィド結合の再構成を行った結果, その約3%が酵素活性をもつタンパク質に変換した. 現在, 他の宿主での発現を検討中である.
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