研究課題/領域番号 |
60880023
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研究種目 |
試験研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
原子力学
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
河村 和孝 東京工大, 原子炉工学研究所, 教授 (80016865)
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研究分担者 |
高木 隆三 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 助教授 (90108233)
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研究期間 (年度) |
1985 – 1986
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キーワード | 非晶質合金 / 耐放射線材料 / 乱れた構造 / ヘリウム照射 / プロトン照射 / 核融合中性子照射 / 核分裂中性子照射 / 広角X線回折 / 小角X線回折 / 短範回相関 / 中範囲相関 |
研究概要 |
近頃脚光をあびている非晶質合金は、ランダムな構造に基因する興味深い多くの特性を有している。その一つに耐放射線がある。 そこで3MeVに加速した【H^+】を2.5×【10^(17)】P/【cm^2】(0.049dpa)まで照射し、照射前と照射後の非晶質【Pd_(80)】【Si_(20)】合金について広角X線回折(Wide AngleX-ray Scattering)と小角X線回折(Small Angle X-ray Scattering)による構造解析を行ったところ【H^+】の2.5×【10^(17)】P/【cm^2】までの照射量では、動径分布曲線に大きな変化は見られなかった。このことは非晶質【Pd_(80)】【Si_(20)】合金の短範囲(数【A!°】程度)並びに中範囲(20【A!°】程度)にわたり照射前と照射後について構造に変化がなく、構造は照射に対して安定であることを示したといえる。他方核融合中性子(14MeV)を(6.88±0.12)×【10^(17)】n/【cm^2】照射したものでは、核分裂中性子(>1MeV)照射したものと同様、照射前と照射後でWAXSには変化が見られなかったものの、SAXSでは照射後の試料の方が、かなり回折強度に変化が見られ、強度が上昇していることがわかった。このことは中性子照射の場合、照射後構造上中範囲(20【A!°】程度)のところに相関があらわれることを示している。一義的にはこのような中範囲の相関は材料の物理的・機械的性質に依存しないので、事実上非晶質【Pd_(80)】【Si_(20)】合金は放射線に対して安定であって、耐放射線材料として非常に有望であることがわかった。 つづいてヘリウム照射した非晶質【Pd_(80)】【Si_(20)】合金の内部摩擦を測定したが、256K付近にある種の緩和によると思われる鋭いピークが観察された。現時点でこのピークがどのような機構による緩和かはたしかめることができなかった。将来更に実験を重ねてこの点を解明したいと考えている。
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