研究課題/領域番号 |
60880026
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
河野 博之 愛媛大, 理学部, 助教授 (50006144)
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研究分担者 |
岸 浩 小山工高専, 工業化学科, 助教授 (60042529)
麓 弘道 (財)工業開発研究所, 主任研究員
土屋 正彦 東京大学, 工学部, 助教授 (40010756)
藤井 敏博 国立公害研究所, 計測技術部, 主任研究員 (60109907)
松岡 伸吾 東京大学, 工学部, 助手 (30092331)
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キーワード | 大気中微量ヨウ素 / 熱陰イオン / 質量分析法 / オキサイドカソード / 仕事関数 / 電子捕獲 |
研究概要 |
前年度に達成した理論的な研究成果に基づいて小型の熱陰イオン源を設計試作し、その先端部にアルカリ土金属塩の混合物を塗布後乾燥させ、これを既存の小型質量分析計に装着して、まず最初に、このオキサイドカソードの表面特性を調べた。その結果、次のことが判った。(1)良好な真空度(約5×【10^(-7)】Torr以下)の下では、仕事関数の値が約2.3eVとなって、ヨウ素の電子親和力(約3.1eV)よりも小さな値になり、好都合である。しかし、(2)空気を導入させると、酸素の吸着によって、仕事関数の値が導入ガス圧と共に増大する。従って、(3)理論上の制約(ヨウ素のイオン化効率を90%以上とするためには、仕事関数の値が約3.0eV以下)を満足させるためには、試料ガス(ヨウ素を含む空気)の導入ガス圧を、約5×【10^(-6)】Torr以下に抑制する必要がある。次に、模擬ガス(ヨウ素を約10ppm含む空気)を調製して、これをニードルバルブでイオン源内に導入し、生成放射されるヨウ素陰イオン(【I^-】)を色々な実験条件の下で測定した。その結果、オキサイドカソードの表面温度が約1000kの場合、導入ガス圧が約3×【10^(-6)】Torrのときに、【I^-】の値は極大値(約1×【10^(-13)】A)を示し、従って、ヨウ素の含有率が1ppm以下の試料ガスに対しても、明るい見通しが得られた。また、このような極大値の出現は、上述の仕事関数の変化と良く対応し、合理的な結果を示している。 一方、参考実験として、気相中の電子捕獲(衝撃エネルギーは70eV)による【I^-】の生成法を採用して、導入ガス中のヨウ素含有濃度と【I^-】の放射量との相関々係を大型の質量分析計で調べたところ、100〜1ppmの濃度範囲で検量線が直線になることを見出した。また、0.5ppmでも検出可能なことが判った。 なお、上述の理論的な研究成果は、既に内外の学術誌上に公表し、また、実験上の成果は、今年度開催の国内及び国際会議で各々発表の予定である(裏面参照)。
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