環境問題の理解についての重要性から、中・高校理科ではそれぞれに、「人間と自然」の単元が設定されるようになったが、そのための教材についてはまだ十分に整備されているとは言えない。本研究では、地域の特性を生かして、淀川水系を中心に上流から下流へと、それぞれの地域との関連を考えながら、自分達の地域の環境問題を総合的に学習できる教材の開発と、それらを用いた教師用指導の手引を作成することを企図した。研究成果の概要は次の通りである。 1.淀川水系の環境に関係した資料及び文献の調査収集を行い、また、滋賀県下の小・中学校で既に実践されている環境教育関連教材の実態調査と収集を行った。 2.上記調査結果と収集資料を参考にして、環境教育教材開発のための基礎的研究(実験・観察等)を行った。 3.上記基礎的研究の結果に基づき教材を開発し、それらをモジュール化していった。現在約30種類のモジュール教材の開発を行っている。(モジュールの一例:湖の水をきれいにする。水の保持能力は土の量とどんな関係にあるか。水をきれいに。水道水とプランクトン。琵琶湖の水収支。一滴の水の旅。私達の生活排水が下流に与える影響。河川や湖の自浄能力は無限だろうか。雨水を調べてみよう。君は生活の中のどんな場面で水のお世話になっているか。) 今後は、既に開発したモジュールの再検討と修正を行うとともに、さらに新しいモジュールの開発を進める。また、作成したモジュールのいくつかについては、学校で実践をお願いし、その適否を検討する。このようにして完成させたモジュール教材を用い、参考資料等も集録したモジュールの利用方法についての「環境教育のための教材モジュール利用の手引(教師用)」を作成することを計画している。
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