研究概要 |
昭和61年度には、次のように前年度に作製した抗体の性質の検討と、新しい抗体の作製を行なった。 ●家兎を免疫して得たポリクローン抗体:前年度に抽出精製したラットの、脳下垂体ホルモンを用いて、抗ラット成長ホルモン(GH)抗体、抗ラット甲状腺刺激ホルモン(TSH)抗体を作製した。抗ラットTSHはRIA系では感度0.5ng/mlで、FSHに対する交差率は0.8%,LHに対しては0.1名と優れていた。免疫組織化学的にもLHとの交差は極めて僅かであった。抗GHの力価はウサギで作製したゝめ力価はやゝ低いが特異性は優れており免疫組織化学的には5-4倍でPRLとの交差が無く充分に使用できるものであった。前年度に作製した抗ラットPRLもRIAによる血中レベルの測定に使用可能であり、免疫組織化学的にも1万倍でGHとの交差無く使用できることが分った。ペプチドホルモンに対する抗体としては、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)抗体,及び消化管ホルモンのひとつモチリン抗体を作製し、いずれもRIAに使用できるものが得られた。 ●山羊を免疫して得られた第二抗体:新しく高力価の抗家兎IgGを作製した。また単クローン抗体を利用して抗マウスIgGを作製した。 ●マウス脾蔵細胞とミエローマ細胞の融合によって得た単クローン抗体:ウシガエル間質細胞刺激ホルモン(LH)のβ-ケブユニットに対する抗体を作製した。この抗体はLHにも反応するので、LHに特異性の高いRIA系を作りあげることができた。またその抗体とポリクローン抗体とを用いてサンドイッチ法による固相JRMA(Immunoradio metric assay)系を確立した。前年度に作製した抗LHRHモノクローナル抗体は、哺乳類から魚類(硬骨魚)に至る広範囲の動物の視床下部の免疫組織化学に使用可能であることが判明した。
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