昨年度開発した双眼走査型電子顕微鏡の性能向上と、特性評価を行った。 1.走査電子線像のコンピュータへの取込み:双眼走査型電子顕鏡の観察者が、観察後直ちに望むことは、粒子の高さ方向の計測である。 そのためには、走査電子線像をコンピュータに取り込んで、データを処理する必要がある。そこで、画像がコンピュータに取り込まれたとして、そのデータから、粒子の高さ方向の計算を行うためのアルゴリズムの開発を行った。 2.ハーフ・ミラーを使う立体視:昨年度開発した双眼走査型電子顕微鏡は2つのCRTが平行に置かれ、それらを立体鏡を使って観察している。これでは、1人しか観察できないし、またのぞき込むために目が疲れる。これを解決するために、ハーフ・ミラーと偏光板の併用による立体視の基礎的研究を進めた。2つのパーソナル・コンピュータをRS-232Cを通して接続し、結晶模型を左右から見た像をそれぞれ左右のCRT上に表示し、これをハーフ・ミラーと偏光板の組み合わせで観察し、良好な結果を得た。したがって、双眼走査型電子顕微鏡に対しても、この方法は有効であろう。 3.双眼走査型電子顕微鏡の光角の測定:双眼走査型電子顕微鏡の画像を使って、微粒子の3次元測定をする場合、高さ方向の測定精度は光角の大きさによる。すなわち、光角が大きければ精度は高く、光角が小さければ精度は低い。また、光角そのものの値が、測定精度に影響する。そこで、合成ザクロ石を使って、光角の測定を行った。設定倍率を1000倍としたとき、電磁コイルにより10゜の光角になるように設計されている場合の光角は、9.54゜であった。また、ヴィカース硬度計の窪みを使って求められた光角は9.66゜であった。すなわち、本装置では最大約9.6゜の光角をとることができることが判明した。
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