研究概要 |
1.扇状陽子ビームの作成 第3世代方式の陽子線CTシステム用の扇状又は平行でスリット状の陽子ビーム照射場を、東大医科研サイクロトロン物理照射室(幅30mm)、東大核研SFサイクロトロン実験室(生物照射専用照射装置、幅30mm)、および放医研サイクロトロン般用照射室(Wobbling方式、幅50mm)に設置した。 2.陽子飛跡・エネルギー検出系の開発 被測定試料内を通過する陽子の位置及び飛跡を決定する目的で、2組のシリコンストリップ検出器(浜松フォトンクス社製、厚さ0.2mm、幅0.25mm×112チャンネル)を購入し、この信号処理系の研究開発を行った。各ストリップは約8nsの短いパルス時間幅をもつ事が解った。マイクロアンプ(Le Croy402)及びECLコンパレータ(Le Croy407)による高速信号処理回路を試作した。 3.データ収集・処理系の基本設計 ストリップ検出器からの位置情報(入口64〜128点、出口64〜128点)およびエネルギー検出器からのエネルギー損失情報(8〜10ビット)を高速に(〜/μs/event)処理するための陽子線飛跡エネルギー分析システムの基本設計を行なった。これは、最新のマイクロプロセッサ(テキサスインストルメンツ社製、TMS32010,16/32ビットCPU,5MIPS)を多数組用いた平行処理システムである。CAMACモジュール内に実装して用いる。ふり分けたディジタル信号を同時平行的に処理し、解析結果を高速CAMACホスト計算機(Le Croy3500-25,6MIPS)に順次送ることにより、全体として高い処理速度(8組で80MIPS)を得ることができる。この分析システムのハードウェアの設計を終了した。また、システムのソフトウェアのうち固定プログラム(ファームウェア)の基本設計も終了した。 4.陽子線CTデータ処理ソフトウェアの開発 上記のマイクロプロセッサによるデータ処理ソフトウェアの開発のためのクロスアセンブラ、リンカ、及びシミュレータを東大医科研VAX計算機に導入した。
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