研究概要 |
本年度は、第3世代方法の陽子線CTシステムの中核となる陽子飛程・エネルギー分析モジュールの試作を行った。このモジュールは、陽子線の試料中の通過位置(16ビット)とエネルギー(16ビット)をイベント毎に解析する高速(10MIPS)なフロントエンドプロセッサーである。このモジュールを、8組並らべれて平行処理することにより合計80MIPSのスーパーコンビュータ並みの演算処理能力を持ち、【10^7】個の入射陽子の飛跡とエネルギーを10秒間で分析し、128方向(各128点)の投影データを作成することができる。試作モジュールは、CAMACのダブル幅筐体にまとめられ、マスターCPU,共有メモリ,およびスレーブCPUの3つの主要な部分から構成されている。マスターは、CAMACデータウエブとのインターフェイス,スレーブの制御,および共有メモリ上でデータの解析の仕事を受け持つ。共有メモリは、2組の64KW(16ビット)のRAMをマスターとスレーブが交互に利用する。スレーブは、陽子線の検出器からの位置およびエネルギーデータを取り込み、同一陽子飛程毎のエネルギゲースペクトルのヒストグラムを作成する。マスターは、スレーブが分析したエネルギースペクトルを解析して平均の陽子エネルギーを算出する。 この陽子飛程・エネルギー分析モジュールの試作を終了し、テスト用のソフトウエアにより性能の確認を行った。 次年度は、陽子線検出系との接属、およびCAMACのホスト計算機との接属を行ない、総合的な陽子線CTシステムの調整を行う予定でいる。
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